衞藤朋子さんのインタビュー
今日は、よろしくお願いします。衞藤さんは入社されて何年ですか?
32年になります。!(^^)!
それは長いですね~
日頃から聴覚障がい者へのサポートをされているそうですが…
業務をしながら、総務課から社内行事など頼まれたときに
手話通訳や相談にのっています。
なるほど
ところで、御社が聴覚障がい者を採用したのはいつ頃ですか?
鎌倉事業所では1987年に初めて、1名入社したと聞いています。
現在は4名で、会社全体では20名が在籍しています。
障がい者雇用について、おうかがいします。
弊社は共生社会の実現、ダイバーシティに貢献すべく
全社的に障がい者雇用を推進しています!
聴覚障がい者採用までの流れについておしえてください。
主に筑波技術大学と連携しインターンシップ受入れ、
先輩社員との交流会や事業説明会などを実施しています。
現在、鎌倉事業所を含む他事業拠点7場所で
筑波技術大学卒の聴覚障がい者が活躍中です。
社内でのコミュニケーションはどうされていますか?
メールやチャット、電子メモパッドなど使っています。
他にもMicrosoft Teamsのライブキャプション機能や
PowerPointの音声入力(字幕機能)を使い、音声を文字化して
グループミーティングや技術発表会などで活用しています。
なるほど、ITも駆使しているんですね。
社員どうしの相互理解について、
毎年、新入社員を対象とした研修があるそうですが…
約10年前から新人集合研修で「聴覚障がい(ろう)を理解する講座」を
実施し、ろうの社員と一緒に講師を担っています。
配属先にろう者がいた場合、どんな配慮が必要かなど学んでもらい、
要約筆記・手話体験もしています。
聴覚障がい者がいるのが普通の事なんですね!
社内には手話サークルもあるそうですね。
2018年には創部20周年を迎え、旅行やイベントをしてきました。
現在は活動を休止中ですが、再開を望む声もあり、検討中です。
4月にろうの新人が入社予定なので一緒に取り組めたらいいですね。
次に、社内行事の手話通訳を担われているとのことですが、
どんな内容ですか?
防災訓練・年始式などで手話通訳をしてきました。
最近はノートパソコンを持ち込み、音声(字幕)を表示して
司会の部分だけを通訳しています。
音声(字幕表示)を確認しつつ
手話通訳でサポートしています。
以前はすべて通訳していて、
年始式は特に技術用語が多く
冬休みの予習が大変でした(笑)
防災訓練は、今も手話通訳のみ。
手話通訳できるのが社内に
1人で休むわけにもいかず…
急に家族が入院したり、
不幸があったときは辛かったです。
お一人で担ってこられたのは大変でしたね。
ただ社内の事や業務内容がわかるからこそ、
通訳できるという利点もありますね。
手話通訳派遣を依頼するには短時間という事もあり、
お願いしてきませんでした。
今後は技術的な工夫も考慮しつつ当事者である
ろう者と共に考えていきたいです。
ですが行事の手話通訳は、ろう者と一緒に会社に要望し続けて叶えた為、
一度途絶えてしまうと、元の情報保障が無い環境に戻るのでは?
というプレッシャーもありました。
今後は、自分が退職した後を考えていきたいです。
その他、日常的にサポートしている事はありますか?
同じ職場にいる ろう者には「こんな話しているよ」と
手話で伝えたり聴者が自然と耳にする社内の情報は
ろう者のグループチャットで伝えたり、
週1回 昼休みに「手話べり」と称しておしゃべりをしています。
そこでは手話通訳としてではなく
共に働く仲間としての意識ですね。
最近では、子育て・受験情報など
有難がられ、私も教わることが
多いです。(^▽^)/
聴者は何気ない会話や噂話から、
社内の様子や情報を知ったりしますよね。
そういった部分もフォローされているんですね。
最後に
様々な聴覚障がい者と長年、働いてきて思う事
感じることをおしえてください!
ここ数年で音声認識技術が進歩し、字幕(音声表示)が
当たり前になってきています。「字幕さえつけておけば大丈夫」と
思われがちですが…
→速いスピードの字幕を読む
→内容を理解
→自分の意見をまとめ
→日本語に変換
→文字入力で伝える
こういった一連の作業を瞬時にやらなくてはいけません。
わからないときは、遠慮せず「わからない」と
勇気をもって伝えてください。
また「わからない」と言える職場の雰囲気も大切だと思っています!
また、問題解決のため何をすればいいか考え
行動できるようになって欲しい。
そのために、読み書き日本語力は必須です。
聞こえる/聞こえないに関係なく「会社での居場所作り」は大事。
自分の得意分野「あなたに仕事を任せて良かった、ありがとう」と
言われるような業務を見つけてください!
職場に貢献していると感じられる事は、自信や次の学びに
繋がります。「自分には関係ない」と決めつけず、他場所や
これから入社してくる後輩ろう者の為にも、気付いた事は
改善できるよう働いて欲しい!
その一歩が大きな改革に繋がるかもしれません。
伝えたい熱い思いは、ろう者と出会ってから
30年経った今でも変わりません。(笑)
これまで出会った、
全てのろう者、手話関係の皆さんに感謝でいっぱい!!
これからも、よろしくお願いします。(^▽^)/
聴覚障がい者の良き理解者であり
一緒に働いてきた同志でもあり、
衞藤さんがこれまで歩んでこられた
32年の重みを感じました。
お話を伺えて本当に良かったです!
ありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします。